整地(せいち)とは?更地・造成との違いやメリットを解説

  • 「整地」ってどういう意味?
  • 整地・更地・造成って何が違うの?
  • 土地を高値で売却するために最適な整地方法が知りたい

土地を高値で売却するためには、整地が欠かせません。しかし土地の用途に合わせた最適な整地方法を選ぶことは難しく、「無駄な整地をしてしまった」というケースは多々あります。

本記事では、「整地」の定義から更地・造成の違い、メリット・デメリットまで詳しく解説いたします。

記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士

不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。

整地(せいち)とは?

国土交通省の不動産鑑定評価基準によると、整地は以下のように定義されています。

整地とは、設計地盤又は現状地盤に沿う敷地の地均しをいう。

※地均し(地ならし):地面の高低やでこぼこをなくし、平らにすること

公共建築数量積算基準 第3編 土工・地業/国土交通省

簡単に言うと、建物解体後に残った不要な物(コンクリートや大きな石、木くずなど)を取り除き、重機で踏み固定させる「転圧工事」を行うことです。

整地

転圧作業を行うことで、土地全体が平らになり、綺麗に整った状態になります。

整地の種類は6種類

一言に整地と言っても、求める仕上がりの状態は人によって異なります。
※不要物を取り除き土地を平らにする作業までは同じ

例えば、「土の状態のままにする」「石を敷いて雑草が生えてこないようにする」「コンクリートで固めて仕上げる」などです。

整地は上記のように、目的や用途に応じた「仕上がりの状態」によって6種類に分けることができます。

整地方法1㎡あたりの費用
①粗仕上げ(粗整地)300~600円/㎡
②砕石整地2,000~7,000円/㎡
③砂利整地1,000~1,500円/㎡
④真砂土整地3,000~4,000円/㎡
⑤アスファルト整地
コンクリート整地
3,500~6,500円/㎡
5,000~1万円/㎡
⑥防草仕上げ1,000~6,000円/㎡

↓整地の方法や費用感を具体的に検討されている方は下記の記事で詳しく解説しています。

整地(せいち)の種類は6種類|費用相場と失敗しない業者選びの方法は?

整地・更地・造成の違い

「整地」と混同しやすい言葉として「更地」「造成」があります。似た言葉ですが、それぞれ意味が異なります。

整地と更地の違い

整地(転圧作業)
更地

整地と更地の違いは、転圧作業を行っているかどうかです。

転圧作業の有無
整地あり
更地なし

更地とは、建物が建っておらず、かつ土地の利用を制限する権利が付いていない宅地のことを指します。そのため建物が建っていなくとも、建物の解体後に残ったコンクリートや石などの不要物が落ちている状態の土地も更地に該当します。

整地の方が、更地よりも見た目が良いため買い手が見つかりやすいです。

更地(さらち)とは?定義や放置するデメリット・有効な活用方法を解説 | 借地権のミカタ

整地と造成の違い

整地と造成の違いを一言で表すと、工事の規模の大きさです。

整地(住宅地)
造成工事(傾斜地)

造成は土地を有効に活用するために目的や用途に合わせて区画や形を整える一連の作業を指します。

一方の整地は「不要物を取り除く→土地をならす→踏み固める」で作業が完了するため、造成に比べ、工事の規模が小さいです。

造成工事の例

対象:元々は森林だった傾斜地

造成工事の手順

  • 木を伐採する
  • 盛土や切土を行い、土地を平らにする
  • 地盤強化のため、地盤改良を行う

造成は元々宅地ではない土地(山地や農地、丘陵地など)で行われることが多いため、工事の規模が大きくなります。

造成工事は旧宅地造成等規制法(現:盛土規制法)に従って進めなければならず、工事ができる業者が限られていることも整地との大きな違いです。

整地のメリット

ここまで、整地の定義について解説しましたが、費用をかけてまで整地にするメリットは以下の3つです。

土地の売却価格が上がる(整地費用以上に高値で売れる)

土地活用の幅が広がる

土地の管理の手間が無くなる(雑草の除去など)

土地の売却価格が上がる(整地費用以上に高値で売れる)

整地には、すぐに家を建てることができるため、更地よりも高値で売れます。

土地を購入する人は新築戸建ての建築を目的としている場合が多く、更地よりも整地の方が需要があります。また、整地の費用を差し引いても高値で売れるため、土地の売却を検討している方は転圧作業を行って整地にすることをおすすめします。

土地活用の幅が広がる

整地によりコンクリートや大きな石、木くずなどの不要なものが取り除かれ、かつ平らで綺麗な状態になるため、活用がしやすくなります。

整地の活用例
  • 土地を丸ごと売却する
  • 駐車場にする
  • 新築の家を建てる
  • コンテナ型のトランクルームを設置する

以上のように多様な活用方法があります。更地ではなく整地だからこそ、活用方法の選択肢が広がります。

土地の管理の手間が無くなる(雑草の除去など)

更地を荒廃させないよう保つためには、定期的な雑草取りが必要になりますが、転圧作業を行うことで雑草が生えなくなり、管理の手間を省くことができます。

※雑草は放置すればするほど根を深く張り、後々除去する際に余分に費用がかかってしまうこともあるため、早めに整地にすることを推奨します。

整地のデメリット

整地のデメリットはほとんどありませんが、強いてあげると以下の2つです。

整地するための費用が発生する

過剰な整地により売却しづらくなる

整地にするための費用が発生する

土地を丸ごと整地にするには、業者に依頼する必要があるため、当然費用が発生します。

仕上げの方法にもよりますが、1㎡あたり300円~7,000円の費用がかかります。
※参考:注文住宅面積の平均は124.4㎡、124.4㎡の土地で整地を行う場合の費用は3万円~87万円

↓整地の方法や費用感を具体的に検討されている方は下記の記事で詳しく解説しています。

整地(せいち)の種類は6種類|費用相場と失敗しない業者選びの方法は?

過剰な整地により売却しづらくなる

過度な整地や用途に合わない種類の整地にしてしまうと、売却しにくくなるケースもあります。

例えば、家を建てたいと考えているにもかかわらず、コンクリートやアスファルトで整地をしてしまうケースです。この場合、家を建てる際にはコンクリートやアスファルトを除去しなければならず、無駄な費用がかかってしまいます。

このように過剰、不適切な整地により売却しづらくなることがあるため、その土地の用途や需要に合わせた整地方法を慎重に選ぶ必要があります。

まとめ

  • 整地は建物解体後に残った不要な物を取り除き、重機で踏み固定させる「転圧工事」を行うこと
  • 整地と更地の違い:転圧作業を行っているかどうか(転圧工事を行っているのが整地)
  • 整地と造成の違い:工事の規模の大きさ(大規模な工事が造成)
  • 整地をすることで高く土地を売却することができる

記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士

不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。