- 借地権割合ってどういう意味
- 借地権割合の調べ方を知りたい
- 借地権割合の計算方法は?

賃貸借契約によって地主から土地を借り、建物を建て登記している場合、借地人は借地権という土地を使用できる権利を持っています。
この土地では借地人が持つ借地権と、地主が持つ土地の所有権である底地権の2つの権利が発生し、その際その土地の権利のうち借地が何割を占めるかを示す数字が借地権割合となります。
本記事ではわかりにくい借地割合について図を用いながら解説していきます。
記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。
借地権割合とは?
借地割合とは借地の財産価値を表す指標です。
例えば以下のケースでは、4000万円の土地のうち、70%に借地権が設定されているので、借地権の評価額は2800万円となります。

つまり借地人は借地ではあるものの、2,800万円相当の財産を保有しているという考え方ができます。
借地権割合はどのようなシーンで必要になる?
借地権は財産とみなされるため、相続・贈与の場合は課税対象となります。この課税額を求める際に借地権割合が必要となってきます。
借地権割合は地価の価格に比例し、都内の東京駅付近や銀座などの高度商業地では80~90%、住宅地では60~70%程度の割合になる場合が多いです。
ちなみに郊外で建物が少ない地域では、借地権割合が定められていない場合もありますが、その場合は評価倍率表から借地権割合を調べることができます。
借地権割合を調べる方法は路線価図・評価倍率表
借地権割合は国税庁の財産評価基準書路線価図・評価倍率表に記載されています。
実際のページを見ながら借地権割合を調べる手順は以下のようになります。本記事執筆時点の画像となります。
なお国税庁のページでは過去6年分の財産評価基準を見ることができます。


借地権割合はA~Gまでのアルファベットで分類され、それぞれ割合が設定されています。
相続、遺贈、贈与によって取得した借地権に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合などにその割合が適用されます。
借地権割合 | |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
右上の一覧が借地権割合、A・Bが路線価、Aは「320千円/平米、C:借地権割合70%」Bは「270千円/平米、C:借地権割合60%」となります。
ちなみに借地権割合の概要で触れた「評価倍率表」は、国税局HPの「③所在地の市区町村を選択」のページで、「この市区町村の評価倍率表を見る」を選択すれば確認することができます。
借地権割合を用いた計算方法
相続や建物売却時に借地権割合を用いて金額を算出します。
相続時には借地上の建物も対象となり、借地権も財産評価しないといけないので、相続税を計算するのに借地権割合の調査が必要となります。

下記が借地権の相続税評価額を求める数式です。
借地権評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合
※「自用地評価額」は所有権として持っていたときの評価額です。
路線価×各種補正率×土地面積で求められます。
反対に自分が持っている土地を人に貸し、借りた人がその土地に自宅を建てて住んでいる「貸宅地」の場合にも、その土地の相続税評価額の計算に借地権割合が使われます。
貸宅地の相続税評価額 = 自用地評価額 X (1-借地権割合)
他にも、借地上の建物を売却する際には、建物だけではなく借地権にも財産的価値があるので、借地権割合を調べて借地権の評価もした上で、売買代金を決定する必要があります。
借地権割合が高い土地だと、相続評価(借地権評価額)も高くなるので相続時には不利になる一方、売却時には高額で売れるので有利になります。
まとめ
借地権割合は土地の評価額を知るために必要な指標です。
割合は地域によって異なり、地価の高い地域ほど借地権割合が高くなる傾向があります。
国税局HPに掲載されている路線価図ですぐに確認することができますので、土地の評価額を知りたいときはまず確認するようにしましょう。
記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。