- 造成にはどんな種類があるの?それぞれの目的は?
- 造成の費用相場を出来るだけ詳しく知りたい…!
- 業者選びに失敗したくない!

造成は土地の状態やその後の用途に応じて5つの種類に分けることができ、種類によって費用が異なります。
さらに各都道府県で造成工事費の目安が定められているため、費用相場を求める際は注意が必要です。
そこで本記事では、造成をするか悩んでいる方のために、造成の種類や種類別・都道府県別の費用相場、失敗しない業者選びまで詳しく説明します。
※造成に関する基礎知識は造成とは?造成工事が行われるケースや判断方法を解説で解説しています。
記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。
造成の種類は5つ|簡単な作業の流れも説明
造成とは土地を整える一連の作業ことを指し、細かく分類すると5つの種類に分けることができます。
- 整地(せいち)
- 伐採・伐根・(防草)
- 地盤改良
- 盛土・切土・土止め
- 残土処分
上記5つの中から、その土地の状態や用途に合わせた造成工事が行われます。
整地による造成

整地とは、傾斜や凸凹な土地を平らにする作業です。
作業の簡単な流れは「不要物を取り除く→土地をならす→踏み固める」となり、作業後は土地全体が綺麗に整った状態になります。
さらに整地も仕上がりの状態に応じて、さらに細かく分類することができます。(石を敷く、アスファルトやコンクリートで固める、防草シートを敷くなど)
▼整地に関する記事
伐採・伐根・防草による造成
伐採 | 不要な樹木を切る |
伐根 | 木の切り株を根っこから取り除く |
防草 | 雑草が生えないように対策を行う(防草シートなど) |

簡単に言うと、樹木を取り除き、再び生えてこないようにするための作業です。
伐採→伐根→防草という順に作業を行います。
伐採・伐根・防草を行うと、土地の管理の中でも特に面倒な「雑草取り」に関する悩みを解消することができます。
地盤改良による造成

地盤改良の目的は、軟弱な地盤の地耐力を強くすることです。
※地耐力:地盤がどれだけの重さに耐えることができるかどうかの強さ
地面の表面をセメントで固めたり、土の中に杭を埋め込む工事を行います。
▼ 代表的な工法
表層改良工法 | セメント系固化材を用いて表層部分を固める |
柱状改良工法 | 地中に土とセメントでできた柱状の杭を埋め込む |
鋼管杭工法 | 地中に鋼でできた柱状の杭を埋め込む |
各方法を詳しく理解する必要はありません。専門業者に土地を調査してもらい、その土地に最適な方法を選択しましょう。
盛土・切土・土止め
盛土 | 土を盛って地盤面を高くする |
切土 | 地面を削って地盤面を低くする |
土止め | 斜面が崩れないように擁壁をつくる ※擁壁:側面の土が崩れるのを防ぐための壁状の構造物 |

特に急斜面で行われることが多く、盛土や切土によって土地を平坦にします。
さらに土を盛った部分は周辺よりも地盤が弱くなるため、盛土部分の崩壊を防ぐために壁を作る土止めを行います。
残土処分

残土処分とは、工事によって発生した土を処分することです。
全ての工事が終わった後にまとめて行われることが多いですが、面積の狭い土地の場合や土の量が多い場合は、工事と並行して残土処分をします。
造成工事の費用は”用途”や”都道府県”によって異なる
造成工事では、管轄の国税局や土地の状態、その後の用途によって大きく費用が変わります。そのため、一律に費用相場を定めることはできません。
しかし、各国税局が開示している「宅地造成費の金額表」によって、目安の費用を算出することができます。実際の造成工事費とは異なりますが、地域差や種類別の単価を知るためには有効です。
【都道府県別】平坦地の宅地造成費の金額表
宅地造成費は国税局によって金額が異なるため、まずは自身の土地が「どの国税局の管轄なのか」を把握しましょう。
日本全体では、大きく東日本と西日本の2つに分けることができ、さらに各国税局を6つの管轄に分けることができます。全国で12の管轄が存在します。
下記の表には、都道府県別の「宅地造成費の金額表」URLを添付しています。費用相場を求める際に参考にしてください。
東日本国税局 | 札幌 | 北海道 |
仙台 | 青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県 | |
関東信越 | 新潟県・栃木県・茨城県・群馬県・埼玉県・長野県 | |
東京 | 千葉県・東京都・神奈川県・山梨県 | |
金沢 | 富山県・石川県・福井県 | |
名古屋 | 静岡県・愛知県・岐阜県・三重県 | |
西日本国税局 | 大阪 | 滋賀県・奈良県・京都府・和歌山県・大阪府・兵庫県 |
広島 | 岡山県・鳥取県・広島県・島根県・山口県 | |
高松 | 香川県・徳島県・愛媛県・高知県 | |
福岡 | 福岡県・佐賀県・長崎県 | |
熊本 | 大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県 | |
沖縄 | 沖縄県 |
【参考】東京都の平坦地における宅地造成費

上記の画像は、東京都の平坦地における造成工事費の目安です。種類別に1平方メートルあたりの金額が記されています。
<例>100㎡の土地で「伐採・伐根」と「地盤改良」を行う場合
造成種類 | 単価 | 対象の㎡ | 金額 |
---|---|---|---|
伐採、伐根費 | 800円 | 100㎡ | 80,000円 |
地盤改良費 | 1,600円 | 100㎡ | 160,000円 |
合計:80,000円+160,000円=240,000円
上記で示した金額はあくまで平坦地における費用相場です。傾斜地は傾斜度に応じて金額が上乗せされますので、詳しくは表内のURLから都道府県別にご確認ください。
造成業者選びに失敗しないために行うべき3つのこと
造成工事では、国税局の管轄だけでなく依頼する業者によっても費用が大きく異なります。また造成業者の中には、いまだに違法行為を行う悪徳業者が存在します。
そこで、無駄な費用を抑えつつ、悪徳業者に引っかからない、失敗しない業者選びのコツを紹介します。
- 造成業者へ直接依頼する
- 複数社に見積もりを依頼する
- トラブルを回避する
造成業者へ直接依頼する
土地の造成は、旧宅地造成等規制法(現:盛土規制法)に従って進めなければならず、工事ができる業者が限られているため、ハウスメーカーや不動産会社では直接工事をすることができません。
例えばハウスメーカーに造成工事を依頼した場合、ハウスメーカーがさらに造成業者に工事を依頼するため、仲介料がが上乗せされ、無駄な費用を払うことになってしまいます。
そのため、造成工事を考えている場合は自身で造成業者を調べ、直接依頼することをお勧めします。
▶仲介手数料でどれくらい損をするのか
仲介手数料は造成費用の10%前後です。
<例> 造成費用が100万円の場合
造成工事を行った会社が1社の場合は10万円の仲介手数料が上乗せされ、合計110万円。
工事の種類に応じて2社が行った場合は20万円の仲介手数料が上乗せされ、合計120万円。
数十万円単位で無駄な仲介手数料が発生し、損をすることになります。
複数社に見積もりを依頼する
造成業者選びに失敗しないために、最低でも2社に見積もりを依頼しましょう。
いくつかの造成業者から査定書をもらい、総費用や細かい内訳などを比較することが重要です。
ただし、「費用が安い」という理由だけで業者を決めるのはリスクがあります。中には、違法行為や雑な工事を行う悪徳業者もいます。悪徳業者かどうか見分けるために、資格の提示をお願いしたり、会社HPなどで国土交通省の建設業法第3条に基づいた「建設業の許可」の有無を確認しましょう。
トラブルを回避する
造成工事では、近隣トラブルや法的な手続きを忘れるなど、様々なトラブルが潜んでいます。場合によっては慰謝料や罰金などの無駄な費用が掛かることがあるため、細心の注意を払う必要があります。
最も多いのが、近隣住民とのトラブルです。工事で発生した騒音や振動などによって、隣人から慰謝料を請求されたり、最悪の場合は裁判になることもあります。そのため、事前に同意を得ることはもちろん、工事の日程や時間帯にも配慮しましょう。
また法的な手続きを怠ると、過料(罰金)を支払うことになります。現在、登記の申請は窓口だけでなく、郵送やオンラインでもできるため、忘れずに行いましょう。
【参考】造成時に必要な法的手続き
- 滅失登記:解体等で建物が無くなった際に申請が必要
- 地目変更:土地を使う目的が変わった場合に申請が必要 (例:田から宅地、山林から宅地など)
詳しくは法務局の不動産登記申請手続のHPをご覧ください。
まとめ
造成は、土地の状態や用途に合わせて5種類に分けることができます。
- 整地
- 伐採・伐根・防草
- 地盤改良
- 盛土・切土・土止め
- 残土処分
造成の費用相場は、種類別だけでなく都道府県によっても異なるため、一律に定めることはできません。費用面に注意しつつ、悪徳業者に引っかからないよう、複数の造成業者を比較しましょう。
記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。