- 通常の地代と相当の地代の違いは?
- 地代の計算式が知りたい!
- 権利金は何のために支払われるの?

地代とは、土地を借りる際に借りる人が地主に支払う賃料のことです。借地権が設定されている土地の地代には「通常の地代」と「相当の地代」の2種類があり、支払う金額や性質が異なります。
本記事では、通常の地代・相当の地代について、地代の計算方法や相場、併せて権利金について解説します。
記事監修者情報

株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。
まずは「権利金」について理解しよう
通常の地代・相当の地代を説明する上で、まずは「権利金」について理解する必要があります。
権利金とは?

権利金とは、不動産の賃貸借契約を結ぶ際に借地権を設定する対価として支払われるお金のことです。簡単に言うと、借地権を設定してもらったお礼です。
借りる側(賃借人)が貸す側(地主/賃貸人)に対して支払いますが、一時的な預り金ではないため、契約が終了しても、権利金は返還されません。
通常の地代・相当の地代とは?
通常の地代と相当の地代を考える上で、「土地全体を借地権(権利)と底地(土地)に分けて考える」と理解しやすいです。図解すると以下のようになります。

通常の地代・相当の地代の違い
借地権が設定されている土地では「通常の地代」と「相当の地代」の2種類があり、契約締結時に「権利金の支払いがあったかどうか」で分けることができます。

通常の地代 | 相当の地代 |
---|---|
底地のみの使用料 ※底地とは、借地権がついた土地のこと(底地=土地全体-借地権) | 土地全体(底地+借地権)の使用料 |
契約時、権利金の支払いあり | 契約時、権利金の支払いなし |
土地の価格×(1-借地権割合)×6% | 土地の価格×6% |
通常の地代とは?

通常の地代とは、底地に対して支払う賃料のことです。月々(または年)の地代は、土地全体から借地権を除いた部分である底地に対してのみ支払います。
なぜ土地全体ではなく、底地のみに対する賃料を支払うのかと言うと、通常の地代では、契約締結時にすでに権利金(借地権に対する対価)の支払いが終わっているためです。
▶「通常の地代」の計算式
土地の価格×(1-借地権割合)×6%
相当の地代とは?

相当の地代とは、土地全体(底地+借地権)に対して支払う賃料のことです。相当の地代は、通常の地代とは異なり、契約締結時に権利金を支払っていない場合に適用されます。
権利金を支払っていないため、月々(または年)の地代は、底地部分だけでなく借地権部分を含んだ土地全体の賃料を支払います。
▶「相当の地代」の計算式
土地の価格×6%

2種類の地代の金額を比較すると「通常の地代<相当の地代」という関係になります。
- 権利金の支払いがある場合は「通常の地代」、権利金の支払いが無い場合は「相当の地代」に該当する
- 通常の地代は、底地のみに対する賃料
- 相当の地代は、土地全体に対する賃料
実際に地代を計算してみよう
通常の地代と相当の違いを理解した上で、具体的な数字を用いて計算をしてみましょう。
通常の地代 | 土地の価格×(1-借地権割合)×6% |
相当の地代 | 土地の価格×6% |
- 土地の価格:3,000万円
- 借地権割合:70%
通常の地代の場合
通常の地代は、契約時に権利金を支払います。先述しましたが、権利金は借地権という権利に対して支払う金銭です。
今回の例では
権利金=3,000万円×70%=2,100万円
であるため、契約時には2,100万円の権利金を地主に対して支払うことになります。
よって月々の地代(通常の地代)は、土地全体から借地権を除いた底地部分に対して支払います。
地代=3,000万円×(1-70%)×6%=54万円
よって、通常の地代は54万円です。
相当の地代の場合
相当の地代は、契約時に権利金の支払いがありません。そのため、月々の地代(相当の地代)は、土地全体に対しての使用料を支払うことになります。
地代=3,000万円×6%=180万円
よって相当の地代は180万円です。
まとめ
- 権利金とは、借地権を設定してもらったことへのお礼として、借地人から地主に対して払われる
- 借地権が設定されている土地での地代は「通常の地代」と「相当の地代」の2種類がある
通常の地代 | 相当の地代 | |
---|---|---|
契約時の権利金の支払い | あり | なし |
月々の地代 | 底地部分のみの使用料 | 土地全体(底地+借地権分) |
計算式 | 土地の価格×(1-借地権割合)×6% | 土地の価格×6% |
記事監修者情報


株式会社グランクルー 代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上・宅地建物取引士
不動産のプロでも敬遠しがちな借地権取引の実績100件以上。借地権の売買や更新料の相談・借地トラブルまで幅広く対応し借地取引に多くの知見を持つ。世田谷の借地権に特化したメディア「教えて世田谷不動産」運営。詳細はプロフィールをご覧ください。